「20th Anniversary!! KREVA in Billboard Live 2024」ライブリポート
2024.07.01
KREVA
20th Anniversary!! KREVA in Billboard Live 2024
2024年6月18日(火)@ビルボードライブ東京
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先日6月18日(火)に誕生日を迎えたと共に、ソロ活動20周年を迎えたKREVA。当日はビルボードライブ東京で「20th Anniversary!! KREVA in Billboard Live 2024」と題した、20周年を記念するワンマンライブを開催。2ndステージのみ生配信し、日本全国のファンが祝福するプレミアムな夜となった。
「クレバの日」として日本記念日協会に正式認定されている9月8日と並ぶ重要な日が6月18日。KREVAの誕生日であり、ソロ名義での1stシングル『希望の炎』がリリースされたのが、2004年6月18日だ。ビルボードライブ東京で2日間に亘って開催された『20th Anniversary!! KREVA in Billboard Live 2024』の最終日は、ソロデビュー20周年の第一歩となった。前日に引き続き2ステージが行われた公演の内、2nd Stageの模様をレポートする。
ステージに現われたKREBandのメンバーたち――白根佳尚(ds)、大神田智彦(b)、田中義人(g)、熊井吾郎(MPC+DJ)、アンドウヒデキ(key)、SONOMI(cho, key)を出迎えた大きな拍手。力強いドラミングが先陣を切り、他のメンバーの演奏も合流。そしてKREVAが登場した。客席内の通路を通ってステージに上がった彼がサングラスを外すと、「Expert」が華麗にスタート。初っ端からラップが、かっこよくて仕方ない。《どこに向かうかなんてのは 後でわかるから進め》というフレーズの説得力が、ものすごかった。続いて「って feat.SONOMI」も披露されたが、間近でラップを体感できる喜びに呆然としている観客がたくさんいた。「前回のビルボードライブ。まだみんなはマスクで、声も出せなかった。でも、今どうだよ? こんなに楽しいだろ? これも全て、俺らの人生だろ?」と観客に問いかけてから歌い始めた「人生」。バンド演奏とラップのコンビネーションが、一際熱を帯びていく。グルーヴィーなサウンドを存分に噛み締めた序盤だった。
「ようこそ、ビルボードライブへ! そして俺の誕生日。来てくれて本当にありがとう。レアな曲も含めて、いっぱい持ってきました。心ゆくまで楽しんでほしいんですけど、俺が20年間やってこられたのは、俺がラッパーだからだと思うんですよ。だから思いっきりラップさせてもらいます!」――EP「存在感」のイントロが流れる中、熱く宣言したKREVA。その言葉通り、途轍もないラップスキルに裏打ちされた「神の領域」「SPACE」「挑め」が、惜しげもなく連発された。そして突入したメドレーは、「パーティはIZUKO?」からスタートし、「C'mon, Let's go」「KILA KILA」「基準」を経て「EGAO」の旋律で一瞬うっとりさせたかと思いきや、再び「パーティはIZUKO?」へと回帰。怒涛の展開をエンジョイするKREVAとKREBandが、客席にいる我々を思いっきり熱く巻き込んでくれた。
メロウなサウンドをじっくりと輝かせた「道なき道」と「瞬間Speechless」を経てスタートした「I Wanna Know You」は、バンドメンバー各々のダイナミックなソロプレイが観客の喝采を浴びた。そして迎えた小休止。「“KREVAさんのソロはないんですか?”っていう顔が見えたんですけど、ないです(笑)。その代わりと言ってはなんですが、俺がこの20年の中で、“お気に入りのヴァースは、何ですか?”と訊かれたら、すぐに思い浮かぶのがあって、それもめちゃくちゃレア。それをやります。その後に久しぶりの曲もやって、みんなが聴きたい曲っていう流れにしたい」――MCの後にまず届けられたのは「ため息はCO2」。2007年にリリースされた3rdアルバム『よろしくお願いします』に収録されていたこの曲を皮切りに、懐かしい風景がよみがえるかのような感覚が続いた。《最高はひとつじゃないよ》という一節の輝きを再確認させられた「THE SHOW」。観客の大合唱が加わった「アグレッシ部~2019 ver.~」……ノスタルジックな気持ちになりつつも、粋なサウンドアレンジの数々とラップがフレッシュ極まりない。KREVAが、まだまだ成長期であり、向上心に満ち溢れ続けていると感じて、嬉しい気持ちになった。
「何を言うか考えたけど、まじで“ありがとう”しかない。感謝の気持ちしかないです! 今日、ここにいてくれてありがとう。ここを選んでくれてありがとう。これからも選ばれ続ける男でありたいので、応援をよろしくお願いします」というMCを挟み、「イッサイガッサイ」。イントロで観客が一斉に掲げた“K”のハンドサインが眩しかった。そして「ひとりじゃないのよ feat. SONOMI」は、グッときた観客がいたのでは? 2004年10月にシングルでリリースされたこの曲は、多くの人にとってのSONOMIとの出会いだったはず。2024年は、彼女の20周年と言っても過言ではないのかもしれない。KREVAのラップと融け合う歌声は、やはりとても魅力的だった。
音色に対する愛を表現した「音色 ~2019 Ver.~」も、印象的だった曲の1つとして思い出される。2004年9月8日にリリースされた最初のバージョンは、メジャーデビュー曲。20年間貫いてきた純愛がこれからも続くことを確信させられた。そして「俺の代表曲は「音色」かもしれないけど、デビュー曲はこれじゃないから。2004年6月18日、俺はこの曲でデビューした」という言葉が添えられた「希望の炎」も、胸に深く迫って来るものがあった。丁度20年前にインディーズでリリースされたこの曲の炎を起点として、たくさんのKREVAの音楽が生み出されていったのだ。曲が終盤にさしかかると、ステージの背景を覆っていた幕が突然開いた。視界に飛び込んできたのは六本木の綺麗な夜景。「あの1つ1つ灯っている街の光が、希望の炎だったらいいよな。でも、現実はなかなか厳しい。それでも今日、めちゃくちゃ降ってた雨も上がったし、もし俺があなたの希望の炎だと言うのならば、俺に向かって突進してくる虫のように生きればいいと思う(笑)」――歌い終えた後のMCは冗談めかしたりもしていたが、とても温かく感じられた。
「時代を遡るように歴代のオリジナルアルバムから曲を丁寧に抽出して、ここまで来ているんですよ。今のところまででメドレーを1曲としたら19曲。次やったら20曲になるのでもう1曲演ります。ここにはいないと思うけど、“KREVA? は?”みたいな人(笑)。どうしたらいいと思います? ラップで往復ビンタですよ。俺が20年やっていられるのは、ラッパーで歌もやってるから。わかってない人がいるみたいなので、ラップで往復ビンタ。“あいつ、20年経ってもまだ進化してやがる!”で終わりたいと思います」――そしてラストを飾ったのは、「TradeMark (JAZZ)」。『Shibuya StreetDance Week 2023』のテーマソングだったこの曲が、ジャジーなサウンドアレンジで新たな光を放っていた。繰り出されるラップは、ビートの利いたフレーズを畳みかけるかのように連続放射。まさしく“往復ビンタ”だったが、理不尽ばかりの日常で凝り固まった心を解きほぐしてくれるかのような爽快感があった。アウトロが奏でられる中、サングラスをかけてステージを後にしたKREVA。通路を歩いて楽屋へと向かいながら、何人もの観客とハイタッチを交わしていた。
終演直後は、清々しい余韻が会場内に漂っていた。ライブ中にKREVAは、新しいファンにも感謝しつつ、「きっかけは何でもいいと」と言っていた。まさしくその通りだと思う。今のタイミングでファンになる人は、20年間で生み出されてきた作品たちを一気に味わえる。新鮮な気持ちであらゆる曲にドキドキできるのだから、非常に羨ましい。彼の音楽と素敵な出会いをする人の輪は、今後もさらに広がっていくだろう。
Text:田中大
Photo:川島伸一
1. Intro
2. Expert
3. って feat. SONOMI
4. 人生
5. Intro(存在感)
6. 神の領域
7. SPACE
8. 挑め
9. パーティはIZUKO? 〜カモレツ〜KILA KILA〜基準〜EGAO〜
10. 道なき道(Short)
11. 瞬間Speechless
12. I Wanna Know You
13. ため息はCO2
14. THE SHOW
15. アグレッシ部〜2019 ver.〜
16. イッサイガッサイ
17. ひとりじゃないのよ feat. SONOMI
18. 音色〜2019 ver.〜
19. 希望の炎
20. TradeMark (JAZZ)