★竹原ピストル★LIVE the SPEEDSTAR
2023.03.18
竹原ピストル
| REPORT
ライター:黒田隆太朗
「お世話になっているSPEEDSTARに感謝を込めてやります、竹原ピストルです」が第一声。そう、彼の叫びはいつだって感謝の裏返しなのだろう。1曲目を歌い終わるや否や多くの拍手が起こり、一瞬の静寂が訪れた。のっけから余韻と期待に会場全体が包み込まれていたように思う。
「LIVE IN 和歌山」からは一層ゲインが上がっていく。時に語りかけるように、あるいは殴りつけるように歌う彼から目が離せない。一際緊張感を持って歌われたのが、ラップともポエトリーとも言える「ギラギラなやつをまだ持ってる」である。懸命さと隣り合わせの攻撃性、情けなさと引き換えに掴んだ意地、音楽と人生に誠実でいるからこそ歌える<傷跡ひっくるめて魂だ>というリリック。アコギ1本とは思えない迫力満点のサウンドが胸を打つ。
「もしよかったら疲れない程度に手拍子ください」と言われれば、ハンズクラップで応えないわけにはいかないだろう。リズミカルな音に乗せて優しいメロディを届ける「よー、そこの若いの」を歌い、本ライブのハイライト「Amazing Grace」へと繋がっていく。「皆さんが健やかに過ごされますように、お祈りの気持ちを込めて歌います」というセリフと、真心込めて呟くような最後の<Amazing Grace>という詩。その清らかさに圧倒された者は多いはずだ。
さて、ここで一呼吸を置くMCである。マスクをつけてもつけなくても、街中で誰からも気づかれないというエピソードが微笑ましい。怖いぐらいの誠実さとあどけないユーモア。竹原ピルトルはそのふたつがあるから頼もしい。最後は未発表曲の「アンチヒーロー」で終幕。一度限りの人生を懸命に生き抜く歌、タフな表現者に万雷の拍手が送られた。
| PHOTO
カメラマン:木下マリ(SOUND SHOOTER)
| PLAY LIST
https://jvcmusic.lnk.to/LIVEtheSPEEDSTAR
| SET LIST
M1. おーい!おーい!!
M2. カモメ
M3. LIVE IN 和歌山
M4. ギラギラなやつをまだ持ってる
M5. よー、そこの若いの
M6. Amazing Grace
M7. 今宵もかろうじて歌い切る
M8. アンチヒーロー