DISC REVIEW

矢野顕子と上妻宏光、ふたりの「民謡」が交錯


 

 先鋭的な姿勢と豊かな音楽性をあわせ持つアーティスト・矢野顕子と、三味線を自在に操り、伝統楽器の可能性を広げてさらなる地平へ向かう上妻宏光。2013年にニューヨークで出会ったふたりが民謡をモチーフに育んできたユニットが「やのとあがつま」。
「こきりこ節」「おてもやん」をはじめとする全国の民謡に矢野顕子と上妻宏光にしかできないアレンジを施してカバー。どの曲も伝統的な民謡とは味わいを変えながら、矢野顕子独特の間、ゆらぎ、緩急の具合が、「音楽」としての民謡の妙味をさらに際立たせている。矢野顕子の民謡の原点となったデビュー・アルバム『JAPANESE GIRL』から続くオリジナル「ふなまち唄 PART III」も収録。ポップな新曲「会いにゆく」「いけるかも」を含め、ピアノと三味線、そしてふたりの歌の魅力と威力を発揮した意欲作となった。「矢野顕子と上妻宏光が出会うことで生まれる、ここにしかない音楽を作りたかった」というふたりの言葉通り、日本にも、そして世界のどこにもないワン&オンリーなアルバムの誕生だ。

 

TEXT : 渡辺 祐

 

 


 

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