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「LOG OUT」DISC REVIEW


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REVIEW

 

4s4kiの“新章“突入を高らかに告げるような、突き抜けた一曲が届いた。新曲「LOG OUT」は高らかなレイヴシンセに始まり、徐々にテンションを高めていくヴァースからビルドアップを経てドラムンベースに飛び込んでいく、かなり強力なナンバーだ。曲後半でフィーチャーされるハードなギターサウンドも心地良い。前作EP『Here or Hell』収録の「Punish」でもドラムンベースを果敢に取り入れたサウンドを追求していたが、どこかチルでアンニュイなムードを漂わせていた「Punish」に対して、この曲のムードはかなりアグレッシブ。Pendulumあたりにも通じるハードロッキンなドラムンベースが展開されている。

リリックも強烈なパンチ力を持っている。《変に拗らせも捻くれも要らない ついて来れない奴構ってられない 好きな物は好きと胸を張りたい》というラインが特にいい。まっすぐに、余計なものを振り払って、自分の「好き」に没入していくという宣言。その迷いのない言葉が歌われている箇所がちょうどビルドアップの部分と重なっているのが曲の推進力になっている。

サビでは《log out 仮想世界にいたい》と高らかに歌い上げられる。それが意味するのは、つまり現実世界からの“ログアウト”だろう。《生き辛い世を捨てろ》というフレーズも効いている。《オンラインでネトゲをしてた 中学2年の春が今 作る音楽に与えたportion》というリリックにはおそらく4s4ki自身のリアルな体験と実感がこもっているはずだ。いわゆるエスケーピズムの精神性が曲の根幹になっているわけなのだけれど、それが単なる逃避というよりも、むしろ自分の好きなもので構成されているもうひとつの世界に没入していくことを称揚するポジティブなマインドに結びついているように聴こえるのがとても印象的だ。

振り返れば、去年にメジャーデビューアルバム『Castle in Madness』をリリースしてから4s4kiを巡る状況はずいぶん加速してきた。ストリーミングサービスを通じて国内だけでなく海外でも支持が広がり、今年2月には「Punish」がUSの音楽メディア『Pitchfork』に取り上げられるなど、海外メディアからの注目も高まってきた。それも、仕掛けでも狙いでもなんでもなく、4s4ki自身の好きなものを貫いてきたことが広まってきた結果だ。先日4s4ki自身に取材させてもらうこともあったのだが、こんなことを言っていたのが印象的だった。

「自分の作りたい音楽を自由に作っていたら、自然に海外の方に聴いてもらう機会が増えたんです。私としては、何かを狙って作るということはほとんどなくて。たまたま趣味嗜好が近い海外の方たちにもハマってくれたのかな、という感じです」

8月14日には、自身初主催のライブイベント「NEW ALTERNATIVE FESTIVAL “AREA 44 vol.1” prod. by 4s4ki」を開催する。ライブアクトには、2021年にリリースした「FAIRYTALE feat. Zheani」「gemstone feat. Puppet」でそれぞれ客演として迎えたZheani、Puppetの2組の出演が決定。オーストラリアのZheaniはインスタのDMで4s4kiとつながり、NYのPuppetはこの日にオープニングDJとして出演するトラックメーカーのgu^2と親交が深かったという。コロナ禍にインターネットを介してコラボを実現させ、ようやく海外アクトの来日公演が戻ってきた2022年に早速“主催フェス”を実現させてしまうスピード感も、今の4s4kiの勢いにつながっているはずだ。

そして8月にはニューアルバムのリリースも決まっている。4s4kiの掲げる「NEW ALTERNATIVE」なマインドがどんな形に結実するのか、とても楽しみだ。

 

Text:柴那典

 

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