DISC REVIEW

新年の幕開けにふさわしい痛快で直球のロックンロール

  • eijun「スタートライン (feat. アンジェリーナ1/3)」
  • 2022.1.5 RELEASE
  • 配信
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スタートライン (feat. アンジェリーナ1/3)   


 

 CREDIT  

作詞・作曲:eijun
Vocal:アンジェリーナ1/3 (Gacharic Spin) (https://twitter.com/Gachapin_info)
Illustration:さなやま (https://twitter.com/hanonnont)
Movie:INPINE (https://twitter.com/INPINE_JP


 


SPECIAL INTERVIEW

 

THE BACK HORNの菅波栄純が、J-POPを究めるeijunプロジェクト( #エイプロ )を2021年4月にスタートさせ、これまで驚くほどキュートなポップスや、コミカルで振り切れたエレポップ、切なさ全開のバラードなど、次々に多彩なアプローチのポップソングを生み出してきた。年が明け、新年一発目のリリースは、通算11曲目のリリースとなる『スタートライン (feat. アンジェリーナ1/3)』。Gacharic Spinのアンジェリーナ1/3がエイプロでボーカルを担うのは、昨年11月にリリースした『愛の蹂躙 (feat. アンジェリーナ1/3)』以来2作目で、今回はエイプロとしては超新鮮な直球のロックンロールである。これまでエイプロではあえて封印してきた「ロック」のアプローチを解禁し、アンジー(アンジェリーナ1/3))のボーカルとeijunのギターが炸裂した、新年の幕開けにふさわしい痛快な1曲となった。eijunはなぜエイプロでも「ロック」を表現するに至ったのか。今、eijunが思考するロックとポップの在り方を含め、とても興味深いインタビューとなった。


 

──新年一発目のリリースとなる『スタートライン』はギターリフを含め、ここまでストレートにロックサウンドで表現した楽曲は、エイプロでは初ですよね?

「初ですね。これは結構前にできた曲なのですが、エイプロではそもそもギターリフを弾いた曲自体が初かもしれないです。『愛の蹂躙』のイントロを、ギターリフと言っていいのかは自分のなかでは曖昧なんですけど、THE BACK HORNで弾いていてもおかしくないようなギターリフは初ですよね。できた時にマネージャーに好評でして(笑)、なんかスカッとしていいですねっというリアクションだったので、良い曲にできるんじゃないかと思ってたんですよね。そこでアンジーに歌ってもらって。『スタートライン』のサビはけっこう高いし、パワフルなボーカルじゃないと、ギターも激しいから負けちゃうのもあって。アンジーと出会えたのは大きかったと思います」

 

──アンジーさんに歌ってもらう前提で完成していった曲かと思えるほどハマっていて、とにかくカッコいいボーカルです。だからeijunさんも迷いなくロックサウンドのアプローチで行けたのかなと。

「でもすごく悩みましたけどね。『愛の蹂躙』の時もそうだったんですけど、『これは激しすぎないかな?』と、自分では思っていて。サウンドはもう少し落ち着かせたほうがいいのかなとか、打ち込みにしたほうがいいかなとか、もう少しポップにシンセ入れたりしたほうがいいかなとか、紆余曲折いろいろ考えた結果、そのままロックなサウンドでいくのがいちばんパンチがあるなと」

 

──これまでとはまた別方向に振り切れた曲なので、逆にMVはどうなるんだろうと思っていたんですよ。そしたらこれもまた良い意味で裏切られました。

「今回もINPINEくんに作ってもらったんですけど、楽曲ができて『こんな感じなんだけど』と、相談している時にINPINEくんから『これは少年漫画のテーマ曲っぽいから、そのアニメのオープニング映像を目指して仕上げるのがいいんじゃないですか?』という提案があって。今は女性も少年漫画を読んでハマる時代だし、そのアイデアはいいなと思ったんですよね。だから今回のMVは、主人公が冒険の旅に出るストーリーにしてもらいました」

 

──アニメのタイトルバックみたいな映像ですよね。

「そうなんです。そういうのが見えてきて、あ、いいかもねって。今回、歌録りの時点では、シンプルにカッコいい歌を歌ってほしいということで、あんまり悩みはなかったんですけど、サウンドの雰囲気とMVは少し悩みました」

 

──サウンドはもっとポップに寄せたほうがいいんじゃないか、とか?

「そうですね。編成が、ギターとベースとドラム、あとハンドクラップ音も入ってますけど、ほとんどそれだけで構成されてるんですよ。ここまで潔いアレンジって今、逆に聞かないと思って(笑)」

 

──THE BACK HORNでもやらないくらいの、ど正面からのロックですもんね。

「そうですね。だから『1周まわって新鮮説』というか(笑)。『雨宿りと君の気持ち (feat. YOCO)』の時も、歌謡曲風のメロディが1周まわって新鮮なんじゃないかという話をしてたと思うんですけど、それと一緒でストレートなロックも今は逆に新鮮なんじゃないかと思って。クラップをドラムの頭打ちと合わせるのは、もうグラムロックかっていう感じですし(笑)。だから、エイプロでやるかどうかはずっと保留にしていたんですけどね」

 

──そのストレートなロックサウンドに乗る歌詞が、何度でもスタートラインに立てるという力強いメッセージになっていて。とても普遍的でありながら、今の時代にこそ響くテーマになっていると思います。

「以前のインタビューで、エイプロはポップスのなかでもオルタナティブというか、半分くらいズレたところを狙っているという話をしたんですけど、この曲はメッセージ的にど正面から向き合っていて、『日本を元気にする』くらいの勢いがあるんですよね。その勢いの大部分をアンジーにも背負わせたというか、アンジーが一緒に『やりますよ』と、言ってくれたことで救われた部分もあるんですよね」

 

──なるほど。だからなんとなくバンド感のある作品になったんですかね。まったく違うアプローチではありますが、THE BACK HORNの『希望を鳴らせ』と根っこが同じところにあるような気もしています。

「いや、ほんとそうですね。ちょっと『バンド』かもしれないですね。アンジーと自分の。それでこれはたまたまなんですけど、アンジーが20歳になって、年明けにGacharic Spinのライブがあるのですが、それが成人としての初ライブなんです。そういったテーマ性もこの楽曲にはあるんですよね。そのタイミングでこの『スタートライン』というテーマの曲ができて、運命的に合致しているところがあると思って。だからこの曲は多くの方へ届きそうな予感があります」

 

──『愛の蹂躙』でのヘヴィでダークなアプローチも、今回の『スタートライン』でのソリッドなロック感も、エイプロにおいては新機軸。『スタートライン』は特に、このシンプルな表現が逆に変化球だと感じられるというのがとても面白いのですが、eijunさんとしてはもう、エイプロでロックを表現することについて葛藤はないですか?

「いや、実は今もありますね。オレはスマホのホーム画面にTikTokのウィジェットがあるくらい、いつも見てるんですけど(笑)、今はなかなかロックは流れてこないんですよ──という現実が、シンプルにいろんなことを物語っているような気がします。もちろんいつも自分がいる界隈ではロックはずっと流れているわけですけど、そこと比べたらインターネットやSNSの界隈ではロックはあまり聞こえてこないんですよね。と言ってもロックがまったく聞こえなくなったわけじゃないのも面白いところで。バンドのTikTokアカウントならもちろんロックが流れているし、ボカロで流行った曲でもロックのギターが鳴ってたりと、もはやロックはいろんなところに根付いていて自然に溶け込んではいるんですよね。オレはTHE BACK HORNがあって、エイプロをやっていて、その両方の界隈を行き来しているので、エイプロの中にロックなサウンドをどれだけ入れるのかっていうことに関しては、『一旦噛み砕いて考える』という工程を踏む思考になっているんですよね。で、それは必ずしも悪いことではないなと自分では思っていて。自分がロックの界隈にしかいない人間だったら、なんの迷いもなくロックばっかりやっていたと思うんですけど、そうじゃなくなっているというか、一回落ち着けっていう客観的な目線もあって。『ここはロックで!』というところで的確にアクセルを踏めるようになっている気がしています(笑)」

 

──バンド界隈でもダンスファンクやネオソウルやシティポップ的なアプローチが今や普通に取り入れられているし、ネットミュージック界隈でも、そうしたポップ寄りな楽曲がすごくロックに聞こえる瞬間があったりしますよね。そういう時代性というかポップの感覚が、エイプロでは自然に表現されてる気がしています。

「前に、オレは今ポップス界隈の街にやってきて『ホテル暮らし』をしている──『なんか変な奴があのホテルに住み始めたぞ』と、思われているんじゃないかと──そういう状況にいるという話をしましたよね。自分はその界隈というか、ポップスの街に、ちゃんと住んでいるっていう感覚なんです。出張じゃなくて、ちゃんとポップス界隈の住人として作っているという。自分はこの街に住みたいという強い想いがあってやっているので、その感覚が音にも現れていると思うんですけどね。ロック界隈にいて外からポップスに関わると、どうしても『ポップスってこんな感じでしょ?』という高を括ったようなコンセプトでやりがちじゃないですか。『TikTokってこういうとこでしょ?』という感じで。オレにはそういう感覚はないから、エイプロは不思議なミックス感を生んでいるんだと思います」

 

──eijunさんのポップスへの覚悟や本気度というか、だからこそのハイスピードなリリースペースでもあるし。「住人」としてその界隈にいるっていう感覚は、エイプロがスタートした当初から? それともやはり徐々に大きくなっていった?

「オレは海外旅行に行って言葉も全然わからなかったりして、最初は疎外感を味わったりしますよね。でも滞在中に頑張って話しかけたりするうちに仲良くなるじゃないですか。あの感じが好きなんですよ。人見知りなくせにチャレンジャー精神があって、全然馴染めなそうなところに行って、だんだん馴染んでいくことにも、これまで結構チャレンジしてきているんですよね。そもそもオレにとってバンドというものがそうだったし。元々はロックな要素なんて自分には全然なかったんですよ。ライブ配信とかもそうで、『なんだあのおっさんは?』というところから戦っていくのがオレなので(笑)。それがいつの間にか馴染んできている。だからそこで何かを生み出すなら、ちゃんと住まないとダメだなと思いますね」

 

──最後に新年の抱負、というわけではないですが、2022年のeijunプロジェクトはどんなふうに進めていきたいですか?

「この前INPINEくんともMVの話の流れから、『2年目はどんな感じでいきますか?』という話になりまして。4月21日がプロジェクトスタートの日なので、その日が来たらようやく2年目に入るんですけど、そこから先はどんな流れで行こうかと。自分としては、これまでと同じように、このスリリングなスタイルで行けるとこまで行きたいという想いが半分。あとは実際にTikTokで仲良くなったイラストレーターさんや歌い手さんもだんだん増えてきたので、そういう方にお願いしてみたいという想いもあります。この1年、自分が実際に住んでみてご近所さんになった方と、みたいな話ですね。そういう方にお願いしてみることもやってみたいんですけど、ミュージシャンの方とかボカロPの方とか、作家としてやっている方とのコラボも可能性としては面白いかなと思ってます」

 

──おお。コライトの可能性もあると?

「そうですね。でもそこまで手を広げてしまうと、月1で新曲を出していくにしても、もう枠が足りなくなってくるので(笑)」

 

──やりたいことは尽きないわけですね。エイプロ本筋のリリースのスピード感はキープしてルーティン化しつつ、プラスアルファで別のアプローチもというと、もうますます時間も枠も足りない(笑)。

「ひとまず今のやり方を持続していきたいとは思っています。3月リリース分まではMVも動いていて、ボーカリストさんへの発注も済んでいる状況なので、また先々も楽しみにしていてください」

 

TEXT:杉浦美恵


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