DISC REVIEW

KREVA Special Interview



 

KREVA
Single「Fall in Love Again feat. 三浦大知」Interview




 

 ──まず、9月8日に配信のみで開催された「908 FESTIVAL ONLINE 2020」は本当に素晴らしい内容でした。トークコーナーを設けたり、打ち上げの模様もそのまま生中継するなど配信ならではの強みを活かしながら、何よりKREVAさんを筆頭に出演した各アーティストのパフォーマンスの精度の高さ、さらにコレボレーション楽曲の様相は独創的な音楽祭のようでもありました。

KREVA:ありがとうございます。メンツがとにかくヤバかったですよね。この配信ライヴをスルーしたらマズいんじゃないかと思わせるメンツというか(笑)。

 

──KREVAさんにとって今年は客演の多い1年でもあって、1月香取慎吾さんへの楽曲プロデュースもしている“嫌気がさすほど愛してる feat. KREVA”、MIYAVIさんもギターで参加した2月の石川さゆりさんに迎えられた“火事と喧嘩は江戸の華 feat. KREVA”、7月にはPUNPEEさんとの“夢追い人 feat. KREVA”、8月にはZORNさんとの“One Mic feat. KREVA”、9月にはtofubeatsさんとの“RUN REMIX(feat. KREVA & VaVa)”と、現行のシーンで独立した存在感を発揮し支持を集めているラッパーやトラックメイカー/プロデューサーとのコラボレーションが立て続けに実現した。そして、この最新シングルで迎えた三浦大知さん、昨年コラボレーションを果たしたNulbarichのJQさんも加えて今挙げたアーティストたちが「908 FESTIVAL ONLINE 2020」に一堂に会したのは壮観でもありました。

KREVA:“Fall in Love Again feat. 三浦大知”にもつながる話ですけど、今年は慎吾君との曲が1月にあって、2月にさゆりさん、そこからPUNPEE、ZORN、tofubeatsと、本当にたまたま客演のオファーが続いて、偶然にもすごくいい流れが生まれていったんです。

 

──偶然にしてはできすぎですよね(笑)。

KREVA:でも、本当に偶然なんですよ(笑)。最初に声をかけてくれたのはZORNかな。その次にPUNPEEからオファーが来て「あ、また来た!」と思ったんだけど、さらにtofubeatsからも急なオファーがあり。これを俺がセルフプロデュースしていたらすごいなと思いますけどね。tofubeatsとやった曲でもそういうことを歌ってますけど、こんなにキャリアを積んでもまだ加速できるんだということを示せたと思うんですよね。彼らは今回、俺と一緒に曲を作って『ヒップホップドリームですよ』というようなことを言ってくれたんだけど、俺からするとソロでは16年、音楽を始めてから25年くらい経過した今になってピークを更新するようなオファーを立て続けにもらえるなんて、他のジャンルのアーティストではありえないと思うんです。この曲にもあの曲にも参加しているというギタリストとかはいるかもしれないけど、『feat. KREVA』という冠が付いていて、すべての曲のMVが存在しているなんて他にはないと思います。でも、それは一つひとつの楽曲制作を含めた仕事と真摯に、粛々と向き合ってきた結果でもあると思うんですよね。そして、その流れはこの“Fall in Love Again feat. 三浦大知”にもつながっているんだと思います」

 

──あえて言葉を選ばずに言うなら、KREVAさんの超ラッパーモードを久々に間断なく感じられて歓喜したリスナーも多いと思います。あらためて日本で一番結果を出しているラッパーとしてのすごみを見せつけたとも思うし。

KREVA:勝手にMVP級の仕事をしている感はあったと思います(笑)。みんなが声をかけてくれなかったら、“タンポポ feat. ZORN”も生まれていたかわからないわけで。最初に自分から声をかけてZORNやPUNPEEと曲を作るのと、彼らに声をかけてもらって一緒にやるのではマインドも意味合いもまったく違いますから。ZORNもPUNPEEも、自分が積み重ねてきた音楽的なキャリアのどこがよかったか思い出せてくれたというか。2人とも「ここがよかった」って言ってくれるんですよ。

 

──たとえば?

KREVA:まず2人とも曲で言うと“瞬間speechless”世代なんですよ。彼らくらいの世代にとっては音楽を好きになったころには俺はすでに音楽シーンにいて、たとえばPUNPEEは『愛・自分博』が好きだったと言ってくれるんですね。でも、いろんなアーティストのいろんな音楽を聴いて好きになっていく過程で1回離れていくじゃないですか。そこから戻ってきたのが“瞬間speechless”だったって2人とも言ってくれるんですよね。

 

──実際、PUNPEEさんとの“夢追い人 feat. KREVA”では“瞬間speechless”のコーラスフレーズが引用されてますよね。

KREVA:そう。俺自身は、“瞬間speechless”をリリースした当時は昔のリスナーを取り戻したような感覚はなかったから意外でもあったんですけど。でも、それもずっと夢中にやってきたからこそなのかな、と。あとはJQ(Nulbarich)もそうですけど、彼らが俺に求めてる姿勢が「覇者」としてストレートにラップしてほしいということで。彼らくらいの世代が見ている俺はラップしている姿なんだなと思ったし、だからこそそれぞれのコラボレーション曲でもストレートにラップしようと心がけました。求められている姿を自分の作品でアウトプットすることって今まであまりなかったから。どちらかというと、自分の作品では「痛み」とか「ラヴ」の要素が全面に出ることが多くて、韻をしっかり踏んでストレートにスキルを誇示するような曲のほうが少なかったなと思って。呼んでくれたみんなに感謝です。いろんなことを思い出せてくれた。

 

──“Fall in Love Again feat. 三浦大知”には「痛み」も「ラヴ」も「タイトに押韻するストレートなラップ」の要素がありますよね。楽曲が内包しているメッセージ性も含めて2020年の最後にこの曲をリリースする意義は本当に大きいと思います。

KREVA:そう思いますね。2020年の実感としては、2月から予定していたホールツアーも(新型コロナウイルスの感染拡大によって)全公演無期限延期になってしまったことで予期せぬ時間が生まれたんですけど、そんなタイミングだったからこそ集中して楽曲制作しました。それはすごくよかったと思います。今日はインタビューのために“Fall in Love Again feat. 三浦大知”がどんな流れで生まれていったのか、大ちゃん(三浦大知)とのメッセージを読み返してそれを書き起こしてきたので発表していきます(笑)。

 

──ありがとうございます(笑)。

KREVA:新型コロナウイルス感染が日本でも徐々に拡大していく中で、俺も大ちゃんもツアーを予定していたので、「どうする?」という連絡を取り合っていたんです。2月にツアーを見送ることが決定したその日もやり取りしていて、「今、三郷(2月27日にツアー初日を迎えるはずだった埼玉県・三郷市文化会館 大ホール)でリハをやってるんだけど、政府の発表待ちでなくなるかもしれない』という話も大ちゃんにしていました。そこからお互いのツアーが全公演無期限延期となったときに大ちゃんが「みんなが元気になるような新曲制作とか、インスタライブを一緒にやりたいです」と提案してくれて。俺もすぐに「トラックを送るわ」って返信したんですね。それが4月の3日か4日で、4月10日に大ちゃんのインスタライブに呼んでもらいました。最初はすぐに大ちゃんにトラックを送ろうと思っていたんですけど、状況も切迫している時期だったし、三浦大知と一緒に曲を作るならしっかり作ってから送りたいと思って。それで毎日のようにトラックを作って、5月半ばに大ちゃんにトラックを送ったんです。でも、結果的には最初に一緒に曲を作ろうって話した時期に家で作ったトラックが選ばれました。

 

──他にはどんなトラックがあったんですか?

KREVA:アーバンな歌モノのようなトラックもあったんですけど、とにかく今はこの状況をポジティブな方向に変えるような曲を出したいという気持ちで俺も大ちゃんもこのトラックをチョイスしたということがデカいと思います。ギターやシタールも入れながら、ソウルの大ネタの上で大きなスケール感で歌うイメージ。

 

──リリックはラヴソングでありながら、その向こう側には「必ずまたライヴの現場で会おう」というメッセージ性がある。

KREVA:そうですね。大ちゃんと最初にメッセージをやり取りしていたころから、この世の中の状況を形に残したいという気持ちはあるけど、「こんなにつらい状況だった……」って語るのではなく、「またいつかライヴができる」という強い気持ちを、ラヴソングの体をとりながら「あのときはこうだったよね」って思い出せるような曲として表現したいという話をしていたし、そういう曲になったと思います。俺もこういうトラックだからこそ一連のフィーチャリング曲で表現したラップのエナジーを乗せることができたし、最後の大サビにあたるメロディを書いてくれた大ちゃんの音楽力も本当に素晴らしいと思いました。大ちゃんとも話していたんですけど、この曲を有観客のライヴで披露できたときの感動は本当にヤバいと思います。

 

──本当に、2020年のKREVAを締めくくるにふさわしいと同時に、未来へと意志をつなぐ楽曲になりましたね。

KREVA:そうですね。こういう曲だからこそ、PUNPEEが好きな人も、ZORNが好きな人も、tofubeatsが好きな人もみんなに楽しんでもらえたらと思います。そこに俺と三浦大知のファンがごちゃ混ぜになったらすごく面白いと思う。こうやってリスペクトの上に成り立った曲たちが増えていくのは本当にうれしいし、ありがたいです。あと、このシングルは、最初は配信のみという話だったんですけど、やっぱりCDもあったほうがいいよねってなったんです。モノとして手元に残ることでこの先2020年のことや新型コロナウイルスのことを思い出すのと同時に、この曲はコロナのことに直接的な言及はしていないラヴソングだったということを感じてもらえるのかなと思うんですよね。その感じがいいのかなと思ってます。

 

聞き手:三宅正一

 


 

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